いつもの時間、すれ違う人々、 誰ひとりとして私の事など 気にかける様子もない……
私は 何の為に生まれてきたの?どう生きていけばいいの?
心の叫びに応える声は無かった……
私 相原夕子 22歳 人並みに恋愛をして 人並みに失恋もした 何となく高校を卒業をして 就職をしたけれど職場に馴染めず 辞めてから フリターの毎日……
公園のベンチで一人 パンをかじる 学生達が楽しげに騒いでいる 「私も何年か前はあんな感じだったのかな……いけない、いけない、また独り言……」最近、やたらと独り言が増えてきている自分に気付いているけれど 直せないのも事実だった。
制服を着て、仲間と騒いでいた頃が懐かしい……あの頃は 自分の存在価値なんて考えもしなかった毎日が楽しく、今のような空虚感など考えもしなかった。
この時期はいつも 自分が嫌いになる……
4年前、卒業旅行に彼と出掛け……授かった命……生んで上げたかった……けれど、それは許されなかった 彼の母親から「家の息子の子供だと言い切れるの?」 「親を騙して二人で旅行に行くような貴女の言う事を信じろと?」 酷い言葉を投げ付けられた でも 必ず彼が救いの手を差し延べてくれると信じていたのに……私の中に出来てしまった大きな陰
自分自身を責め 許せなくなってしまった……
毎年 この時期になると 必ず思い出し 空虚感との戦いになる……
泣けたら楽になるのかな?彼を憎めば楽になるのかな?自問自答ばから…夕子は 携帯を開きメールのチェックをする 出会い系で知り合った克ちゃん 今 夕子の1番の理解者だった毎日 数回のメールのやり取りだったが 夕子自身 素直になれる時だった……克ちゃんには 何でも話せたし 自分を飾る必要が無かった 恋愛感情は無いと思うけれど……
気分的に滅入る時も 頑張れとは言わず どうして そんなに滅入るのかな?と心配をしてくれる人だった
夕子自身 いつも克ちゃんに救われていたけれど、子供を堕ろした事実は告白していなかった……
告白する事によって 克ちゃんの態度が変わる事を恐れていたからだった。 克ちゃんに知り合う前は自分自身を傷つけたりして 自分自身を罰したりもしていたが 今は自分自身を責める気持ちも落ち着いていた