ﾊﾞｽが到着して､ﾊﾞｽを降りて俺は呆然と指輪を眺めた｡
｢ｼﾞｲﾁｬﾝ…｣
何だか俺はｼﾞｲﾁｬﾝがもう逝ってしまった気がした｡
プッ
と車のｸﾗｸｼｮﾝが鳴り､弟の明が手招きしていた｡
車へ乗り込むと
｢兄ちゃん､ｼﾞｲﾁｬﾝ死んじゃったよ｡｣
｢あぁ､やっぱり｣
俺は呟いて指輪をにぎった｡
病院に着くと､親戚のｵｼﾞﾁｬﾝやｵﾊﾞﾁｬﾝがいて､ｵﾔｼﾞやｵﾌｸﾛは少し涙目だった｡
｢少し遅かったな｣
ｵﾔｼﾞが俺の肩をﾎﾟﾝと叩いた｡
ｼﾞｲﾁｬﾝはまるで眠っているかの様に優しい顔だった｡
｢ｼﾞｲﾁｬﾝ､ありがと｣
自然と涙が出た｡
後で聞いた話だがｼﾞｲﾁｬﾝは息を引き取る直前まで俺の名前を呼んでいたらしい｡
月の明るいあの夜に…｡ 完
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