原付きは北風を追い風に冬の冷え切った道路を走っていく。
俺は絵梨原に会ってどうする?
好きだと伝えるのか?
また会いましょう。とでも言うのか?
わからない。
俺はどうしたいんだ?
「もうすぐで着くからな」
河内、、俺分かんないよ、どうすればいいんだよ。
俺は目をつぶる。
北風が俺の体を包み込む。音の無い真っ暗な世界に迷い込んだ感じだった。
「何も考えねぇこったな」
暗い世界に河内の言葉が響いた。
俺はゆっくりと目を開ける、まだ空に輝いている太陽の光が原付きのサイドミラーに反射して俺の視界に入る。
マブいよ、太陽君。
季節は冬、月日は二月四日、まだ寒いはずだ。
はずなのに、太陽の光と河内の言葉が寒い北風を中和してくれた。
俺の心も、、、
走ること十分、俺と河内は中部国際空港に着いた。