「明日の襲撃作戦、うまく行くでしょうか?」
艦長室に入って開口一番荒木副長は滝川に尋ねた。
「副長…」
「分かってます。こんな事、絶対に口にしてはいけない事です」
「THE GOD OF DAY」により焦土と化した東京で、開戦直後に始まった「東京事変」。
砕け散った東京を前に浮き足立った日本軍は間髪入れず殺到してきた月軍降下強襲隊を前に総崩れ。組織的戦闘は三時間で終了。日本軍十隻の艦は巨艦おおしおを始め、あおかぜ以外は全て東京の残骸の仲間入りを果たした。
あおかぜも命からがら成田基地に逃げ込むことになる。
「兵達の士気は盛んよ。心配は要らないわ。…男は堂々としていなくてはならないんじゃなくて?」
十隻中最も絶望的状況だったにも関わらず、ただ一隻生き残り、その上敵艦を二隻も落としたあおかぜは英雄的扱いを受け、敵の装備、数等様々な質問を受けた。その後半壊したあおかぜは改修され最新艦として生まれ変わったのだった。
「申し訳ありません」
「意外に気弱なところがあるわね」
「いえ……」
「明日はしっかり頼むわよ。荒木副艦長殿」
滝川は副艦長を強調して、退室を促した。