それでも、真っ黒な闇のなかで。孤独と寂しさで押し潰されて死にそうだった。
どしゃぶりの雨のなか。幼い俺は立ちすくんでいた。
音が聞こえない。
なんか目の前に鏡があるみたい。
仔猫が雨で濡れている。
『あれは、俺…?』
みゃあ、と。
にゃあ、と。
連れていって欲しいの?
抱き締めて欲しいの?
抱き締めた白は、とても暖かかった。
確に孤独に濡れて冷たいハズなのに。
俺と同じ、冷たいハズなのに。
どうしてこんなに、暖かいのだろう。
見上げた空には
太陽が笑っていた。
すたすたすた…
家路を歩く。
きっと暗闇が待っている、でも。
きっと必ず、迎えが来てくれる。
髪の色…黒の次は白のように。
闇の次は光のように。
涙の次は笑顔のように。
孤独の次は、きっと幸福。
そう信じて
ずっと戦ってきたのに。
それが来るまでの道のりは長かったけど。