デジャウ゛?

 2008-01-27投稿
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「あの・・・・、なにか。」

僕が怪訝な顔をしてそう言うと、湯浅という人物は僕を見つめながら口を開いた。

「秋人くんだね。」

「えっ、はい。でもなんで名前を。」

僕は名前を知っていることに驚き、すぐに聞き返した。
すると母が怒った顔をして、口を挟んできた。

「何言ってんのよ秋人。あんた入学式中寝てたの。湯浅先生はあなたの担任の先生じゃない。ちゃんと入学式で紹介されてたでしょ。」

母は、それまできれいに整えていた声を荒げて僕を怒鳴った。
入学式中考え事をしていた頭は、入学式のことなど全く覚えていなかった。
しかし母の声と顔は、僕の言葉次第でいくらでも進化をとげそうだった。
なので僕は覚えているふりをして、あいさつでごまかした。

「ああ、そうだった。湯浅先生、これからはよろしくお願いします。」

ありきたりなあいさつだ。これに続いて母があいさつをした。

「秋人をどうぞよろしくお願いします。」

これまたありきたりなあいさつだった。

「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします。」

僕は笑い出しそうだった。
テレビでしか見た事のないような、ベタなやりとりが自分の目の前で行われていたからだ。

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