藤咲のいる霞川高校は小高い丘の上にあり、屋上からはこの町、霞町を一望できる
そして、丘の麓には駄菓子屋があり、その真正面にどでかい石造りの階段がある。その上に“柩のオカマ”の家があるのだ
「も、帰ろうよ。疲れた…」
「ホントにお前は情けねぇ奴だな!尾仁辺を見ろ!もう上っちゃったぞ!」
何故か尾仁辺は細身だが、体育のマラソンはトップだし、腕相撲も強い。まさに名前の通り、鬼のような体力の持ち主である
「遅いぞ、二人とも!」
「藤咲がヘバっちゃってさ。…ここが噂の。俺来るのは初めてだな」
そこには木造の大きな門が三人を見下すように建っていた
その横の柱には小さな板に筆で書かれた札がかかっていた
「ひ、ひ…?」
「“ひつぎのみや”今日言っただろ」
「ああそうか。難しい字だな。…さあ家も見たことだし、帰ろうか!」
「待て、待て。この門、入れるんだよ」
逃がすまいとして尾仁辺は藤咲の襟を掴んみ、門を開けた
「さあ、行くぞ〜。藤咲〜」
と、志後川が笑っている
(ひええええええええええ)
藤咲は泣いていた