『引っ越ししたんだってよ』
『裏切られちゃったねぇ?』
へらへら笑う先輩に、涙が止まらなかった。
いつも見る夢。気がつけば、回りは真っ白。
手から溢れ落ちる、ジグソーパズル。
ただ、そこしか映っていない。
手をさしのべてくれたときの“ゆーま先輩”の笑顔のピース。
集めても集めても、一つになってくれない。
『どうして?』
音はない。
ただ、映像だけがクリアに流れる。
ヒステリーをおこし、白の地に這いつくばったりして。
雨が降ってるな、と思っていたら。
それは自分の涙だったり。
ただ一言。
あの言葉を口に出来なかった。
声に出せば、音にのせれば。
─…黒の次は白?
闇の次は光?
孤独の次は、幸福?
なら、それはエンドレスに続くんだ。
孤独の次が幸福なら。
幸福の次は孤独、でしょ?
ほら、今もこうして俺はまた繰り返してる。
きっと『この夢』の続きなんて、ない。
- - - - -
「…………!」
はっ、と気がつくと、数学の授業中だった。
そうだ、あれから他愛ない会話をして。
数学がはじまって…
ぼーっとして。
ついつい、過去を歩いていた。