愛美は下を向いたままだ。
「愛美…やはり怒らせてしまったようだね…でも僕は本当に愛美を幸せにしたいと思ってるんだ」
「……………」
愛美がついに重い口を開いた。
「秀二さん…本当に私を愛して頂いてるのは嬉しく思います…でも…私は…」
「愛美…他に愛する人が居るのかな…その人は愛美を幸せに出来る人なんだろうね…」
「…それは…」愛美はなんと言えば良いのか解らない…
「もし…愛美を本当に幸せに出来る相手じゃないと僕は譲らないよ」
「秀二さん…私はその人を心から愛してるのです…今日はお父様の為に来ました…例え他の方と結婚しても彼への愛は変わりません…」
愛美は素直な気持ちを秀二に話した。
「愛美は彼と一緒になれると思うかい?」秀二は愛美に寂しそうに言った。
「私には解りません…でも愛している事だけは変わりはありません」
秀二は少し黙り込み少ししてから口を開いた。
「分かった!…じゃあこうしよう!僕に彼を合わせてくれないかい…僕が彼が本当に愛美を幸せに出来るか見極めてあげるよ」
それも愛美は複雑だ…佐野を見たら秀二は驚くに違いない。
「秀二さん…秀二さんにとって幸せとは何なのでしょうか?」
「やはり何不自由ない生活かな!」
秀二は自信あり気に言った。
「秀二さん…明日三人で会って頂けますか?」
秀二さんなら話しを聞いてくれると信じて思いきって話した。
「分かったよ」秀二はニッコリして言った。
相手が秀二で良かったかどうかは解らないが…
知らない人よりは話す事が出来ると思った。
「では明日放課後に…」
そう言うと今日は二人は別れた。
…つづく…