「絵梨っ!」
あの坊ちゃん、佐高光司がこちらを睨んでいる。
、、、何だよ。
佐高がポッケから携帯を取り出し、絵梨原から距離を置き、俺を見たまま携帯を耳に当てた。
俺の携帯に着信がある。
画面を見ると未登録番号だ、俺はボタンを押し電話に出た。
『“もしもし、、、?”』俺は佐高を見ながら言った
『“久しぶりだね、金崎君だったかな?』
『“覚えてくれててありがとう、光栄だなぁ、佐高光司君”』
佐高は一瞬驚き、
『“こちらこそ、、、”』呆れ気味に言った。
『“で?何よ?”』
『“俺と絵梨原と弟君達はこれからスイスに旅立つ、知っているかな?”』
『“スイスは初耳だけど、知ってるよ”』
『“なら話が早い”』
勿体振るなよ!うぜぇ!!
『“話とは?”』
『“絵梨原は借金も返してこれから楽しい人生を送るんだ”』
『“それで?”』
佐高は一拍置いて、
『“絵梨原にはさよならも、電話もしないで欲しい”』
『“メールはするわ”』
電話は切れた。
佐高が金崎にまだ何か言いたそうだったが、もう金崎は居なかった。
絵梨原が飛行機の中に乗り込み、窓際の席で外を見ていた。
寒空だ。