奈央と出会えたから。<62>

麻呂  2008-01-27投稿
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* * * * * *

始業式から一週間が過ぎたある日ー。


北岡は、学校へやって来たー。


クラスメイトの中に北岡の病気の事を知らない者は居なかったー。


数日前にユカが全てを語ったからだー。

『お〜っす。』


北岡はそう言うと、ぺちゃんこのカバンを自分の席に置き、椅子にドカッと腰掛けたー。


久しぶりに見る北岡の姿に、クラスメイト達の視線は集中したー。


あたしはいつもの様に、自分の席に座り、好きな絵を描いていたー。


北岡が教室へ入って来たのは、すぐ気付いたけど、あたしはわざと気付かないフリをしていたー。


あたしはクラスメイト全員にシカトされ続けていたから、休み時間をいつも一人で、こうして過ごしていたんだー。


それにー


この数日間は、絵を描く事で、北岡の事を考えずに済んだー。


絵を描く事に熱中していたあたしの背後から、不意に人の気配がしたー。


『木下。今度は何書いてるのよ?!』


そう言って、北岡はあたしの隣の席に座ったー。


あたしは自分の胸の鼓動の高鳴りを感じたー。


そしてー


数日前に聞いた、ユカの言葉が脳裏をよぎったー。


何とか平静を保つ事が出来たあたしは、いつもどうりに北岡と接する事が出来たー。


『うん。これはねー。』


あたしはスケッチブックに描いた絵を、隣に座る北岡に見せたー。


『おっ!!すげぇ‥。木下。やっぱお前は絵の才能あるって!!』


北岡にあたしの描いた絵を褒めてもらったのは、これで二回目だったー。


『そんな大袈裟だよ〜。北岡君。』


あたしは照れ隠しにそう言ったー。


そしてー


初めて褒めてくれたあの公園での事を思い出したー。



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