* * * * * *
始業式から一週間が過ぎたある日ー。
北岡は、学校へやって来たー。
クラスメイトの中に北岡の病気の事を知らない者は居なかったー。
数日前にユカが全てを語ったからだー。
『お〜っす。』
北岡はそう言うと、ぺちゃんこのカバンを自分の席に置き、椅子にドカッと腰掛けたー。
久しぶりに見る北岡の姿に、クラスメイト達の視線は集中したー。
あたしはいつもの様に、自分の席に座り、好きな絵を描いていたー。
北岡が教室へ入って来たのは、すぐ気付いたけど、あたしはわざと気付かないフリをしていたー。
あたしはクラスメイト全員にシカトされ続けていたから、休み時間をいつも一人で、こうして過ごしていたんだー。
それにー
この数日間は、絵を描く事で、北岡の事を考えずに済んだー。
絵を描く事に熱中していたあたしの背後から、不意に人の気配がしたー。
『木下。今度は何書いてるのよ?!』
そう言って、北岡はあたしの隣の席に座ったー。
あたしは自分の胸の鼓動の高鳴りを感じたー。
そしてー
数日前に聞いた、ユカの言葉が脳裏をよぎったー。
何とか平静を保つ事が出来たあたしは、いつもどうりに北岡と接する事が出来たー。
『うん。これはねー。』
あたしはスケッチブックに描いた絵を、隣に座る北岡に見せたー。
『おっ!!すげぇ‥。木下。やっぱお前は絵の才能あるって!!』
北岡にあたしの描いた絵を褒めてもらったのは、これで二回目だったー。
『そんな大袈裟だよ〜。北岡君。』
あたしは照れ隠しにそう言ったー。
そしてー
初めて褒めてくれたあの公園での事を思い出したー。