じめっとした空気が人の気持ちを後ろ向きにさせる6月。 重苦しい表情の女が産婦人科の待合室で涙を目に浮かべて座っていた。 『高芝さん診察室へどうぞ』看護士の声に女は錘に繋がれたような腰を上げた。 診察台に座り、見たこともない医療器具を見て、女はいまから自分が犯す中絶という罪を必死で否定していた… ガチャと扉が開き、痛々しい表情を浮かべ、涙が止めどなく流れ、これから先重たい十字架を背負うこととなる22才のアサミがそこに立っていた。
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