高校の入学式に。一目惚れ。
普通は初対面の同級生や、恰好いい先輩に惹かれるのだろうけど、私の場合は違った。
鈴宮先生…
奇跡。
貴方も同じ想いを抱いていたなんて。
でも、それは許されない。
生徒以上、恋人未満といった所だ―。
*
「神崎」私を呼ぶ優しい声。「落とし物、届いてた」
振り返ると鈴宮先生が微笑んでいた。
「有難う。」
以前先生はどんなに些細な事でも用事を作って話し掛ける、と約束してくれたのだ。
「先生…好きです」
先生は哀しそうに笑った。
「それは言わない約束だろ」
去る背中が愛しく思えた…