そんなこんなで遊園地に到着。考えてみれば遊園地に来た記憶がほとんどない。なんとなく恥ずかしい気もしたので口には出さなかった。
「あー、うちコーヒーカップ乗りたい」
吉川が言った。コーヒーカップって地味じゃないか?なんて思ったが、もちろん口には出さない。
乗った後に思い出した…オレは回転モノに弱いんだった…。見事に酔ってしまった。
「大丈夫か、コウ?」
真が心配して声をかける。
「あんま大丈夫じゃない…。あそこのベンチで休んでっからしばらく3人で遊んでて…」
「いや、それは…」
「いいから行けって…」
正直1人で静かに休みたかった。ベンチにもたれて腕で目を隠していた。…ダッセぇなオレ…。突然何か冷たいモノが額に当たった。
「?!」
「大丈夫?冷たいのあると気持ちいいでしょ?」
「吉川!なんで?」
テンパってろくにな言葉が出てこない。
「少しは2人っきりにさせてあげようかと思ってさ、夏織たち」
そういうことか…。
「それにコーヒーカップ乗ろうって言ったのうちだし」
「いや、オレがさっさと気づけばよかった訳だし…」
吐き気どころじゃない。吉川と2人だけだと思うと動悸がした。