三人は門を開け、柩ノ宮邸に入った。その瞬間、金木犀の匂いが三人を包み込んだ。藤咲は何故かとても懐かしい感じがした
目の前には立派な日本庭園が広がった
「お、おじゃましま〜す。…誰も居ないみたいだな」
「すっげぇ庭だな」
「ねぇ…これ不法侵入じゃない?」
三人がそれぞれ入った後の第一声を発した時、藤咲は固まった
一人の老人が庭の草むらの中からこちらを唖然とした顔つきで見ていたのだ
「おい、藤咲どうし…」
と、志後川
「は?お前ら何…」
と、尾仁辺。二人の動きも止まった
「お、おまいら…こんなところで何やっとる?」
老人が訊ねながら草を掻き分けやって来る
しかし、三人の体は動かない
老人は三人の顔が見えるようになったのか、藤咲の顔を見てハッとした
「あ、あんたは…。ひょっとして藤ヶ咲の坊っちゃんでは…?」
(は、はああああああ?)
三人は訳が分からなかった