プロローグ
1話 赤き深夜
パチパチと音がする。
音自体は小さかったがが敏感で神経質なエフは目を覚ました。
時計を見ようと起こした上半身を180度捻る、だが視線は時計ではなく灰色のカーテンに引き付けられた。
いつもより赤みがかっているように見える。
夕方ではなく今は深夜のはず、一度見外したデジタル時計に自動的に目がいった。
まず目に入ったのはAM、二つの針は直角、3時30分を示していた。
やはり深夜。
その時。
[だぁぁぁぁああぁぁん]
ここは2階、1階から爆音が聞こえてきた。
この音は何か、一瞬考えたが結論は1階に行ってみることだ。
エフはベットから起き上がる。
その時あることに気が付いた。
耳、目の次は鼻だ。
臭う間違いなく、焦げ臭い。
道理で夜なのに熱いと思った。
火事だ。
エフはピアノが趣味だ。
休みの日はピアノを一日中弾いている。
当然、近所から苦情が来た。
エフの部屋は防音に変わる。
防音とゆう事は壁が厚くなり、熱が伝わりにくかったとゆうことだ。
エフは自分の部屋のドアを開けた。
熱風と共にに立ち込める煙が炎の光で赤色に染まっていた。
まるで死に神の化身の様に。
とうとうやばい。
そして更なる追い撃ち。
灯油の臭いに混ざり激しい臭いがする。たちまちめまいが彼を襲った。
毒薬?間違いない、毒薬だ。
つまり、灯油に毒薬を混ぜ点火したのだ。
そんな事はどうでもいい今は自分の命が先だ。
かろうじてめまいを押さえた彼は脱出方法を考え始めた。
まずは、ドアを閉め窓を開ける。大きな家だし、下はアスファルト、ここから跳ぶのはゴメンだ。これは最終手段にとっておこう。エフはそう考えた。
大学生の頭が捻られるが何も思い付かない。
ゆっくり考えている暇などない。木製のドアがチリチリ音をたてそう知らせた。
ついに二階まで火は上がって来たのだ。
電話もこの部屋にはない、よって助けを呼ぶのはは不可能。
窓から外を見たが誰もいない。
音にきずかず寝ているのか。
跳ぶしかないだろう…?
ここから跳んで骨折だけですむのか?
ふとドアの方を見る。
ドアと床の少しの間に開いた隙間から火はじゅうたんに燃え移ってきている。
どうする?