梅城ケンヤは椅子に座り直して言った―\r
『あわせて現在の風紀委員会は解体―これを二つに分かつ』
生まれたばかりの委員会の主となった赤木マモルと港リリアは黙って聞いていた。
『今いる80名の旧風紀委員の内、学防委員会に50、内務委員会に30名を割り振る―君達のこれが部下だ』
梅城ケンヤの構想は計り知れなかった。
『学防委員会は言わば我が校の《剣》だ。外向きの紛争は全てここで処理する』
『つまり―軍隊と?』
おずおずと、赤木マモルは口をはさんだ。
ケンヤは否定しなかった。
『普段は学区の防衛に当たる事になるが、必要に応じて遠征を仕掛ける主力となってもらいたい―さて、内務委員会だが』
ケンヤは不安気な青い瞳に顔を向け、
『名前からも分かる通り、これは《警察》だ―情報や調査部門もここに置く。まあ公安も兼ねてると考えてくれ』
港リリアの表情はこわばりっぱなしだった。
『当然、私の外征中は君に留守を預ける事となる―万が一私がやられたら、与えられた兵力を率いて君がこの学校を守ってもらいたい』
『お、お待ち下さい!』
港リリアはびっくりして話を遮った。
『私は副会長ですよ?しかもそんな30名を預かり校内を取り仕切るなんて―権限が強大過ぎます!』
確かに港リリアの懸念にも一理ある。
本来ならそれ専属に新しい人材を登用すべきなのだ。
だが―\r
『これが最善なんだ』
ケンヤは己の構想に絶対の自信を持っているみたいだった―\r
『私がいない間、内部で誰かが反乱を企むかも知れない。敵と内通するかも知れない―それを押さえられるのは君しかいない』
どうやらケンヤはまだ、港リリアの裏切りに気付いていない。
だが、その港リリアはあくまでも慎重に振る舞った―\r
『では誰か同格者をもう一人お立て下さい。それならば安心して就任出来ますから』
『ダメダメ降参したまえ』
ケンヤは破顔した。
『君だけ楽したいなんてそんな話は認めないぞ?それに、権限ならば赤木委員長の方がより大きい物を負う。無論私もだ―三方一両損よこれは』
仕方なく、より正確には仕方なさ気な振りをして、港リリアは新たな任務を受け入れた。
『分かりました―ですが、外征などこの私が認めませんよ』