綾が帰った後、俺はベッドに横になり、タマを隣に寝かせ、真紀に拾ってもらったストラップの付いた携帯を上に掲げて、光に透かしながらそれを見ていた。
そして俺はタマに話しかける。
「ほら、これ、俺の大切なストラップなんだぜ。タマも見てごらん!」
するとタマは俺の心が通じたのか、ストラップに目を向けた。俺が右に左にそれを動かすと、それに合わせてタマも瞳を動かす。
俺は親近感を覚えた。俺とタマは心がひとつであるかのように感じた。
俺が眠る。タマもそれに合わせて眠った。
朝も同時に目が覚めた。俺が朝食のパンを食べるとタマも牛乳を飲み始めた。
「タマ、大学行ってくるからな!今日は真紀に会えるかな?きっと会えるよな!じゃ、夜まで待ってろよ」
家を出ると、ちょうど同じタイミングで綾が家から出てきた。
「あっ優くん、おはよう!昨日はホントありがとう。大学の帰りにお見舞いに行くことに決めたから!」
綾はすっかり元気になっていた。
「途中まで一緒に行こ!」
そう言って俺のほうを見て笑う。その笑顔で俺も嬉しくなる。今日の綾は一段と可愛く見えた。
電車に乗ってもこの前と違って二人の話は絶えることがなかった。
「じゃあ、私降りるね。優くん、頑張ってネ!」