「姉ちゃん?…もしかして、あなた、ロイ君?」
ミリスは首を傾げて、少年の顔をじっと覗き込んだ。それを見ていたもう一人の女性は、一つ頷いて、
「そうよ、ロイ君よ。間違い無いわ」
と、目を輝かせて言った。「エミリア姉ちゃんも変わってないね」
ロイはにこっと笑って言った。
「大きくなったわね。あれからもう十年になるかしら」
「そうだね。母さんが亡くなった時に会ったくらいだから」
「そうね…。叔父様やお兄様達はお元気?」
「うん。元気にしてるよ…っと、そういえば叔父さんは?」
「今はちょっとお客さんの所に行ってるの。中で待ってなさいよ」
ミリスが笑顔で言った。
「それにしても背中に担いでるその剣。もしかしてロイの魔法剣?」
「…うん。初めて父さんに鍛治を教えてもらって、創った剣なんだ」
ロイは少し表情を曇らせながら、後ろにある剣を見た。
「?」
ミリスはその様子を不思議そうに見つめた。
「それで、父さんには何の用事で来たの?」
ミリスはエミリアに煎れてもらったお茶を飲みながら、尋ねた。
「あ…それが…」
ロイは言い淀んで、頭を掻いた。