強く生きよう…。
強くならなきゃ…。
強くなるんだ…。
人一倍泣き虫だった。
そんな私が、あの日は泣きもせず毅然と振る舞っていた。
2月の終り。
寒い冬晴れの日に祖母が死んだ。
小さい頃、両親が離婚して、私は母方の祖母に引き取られた。
小さな田舎町。
そこで祖母は小さな八百屋を営んでいた。
祖父が亡くなって10年。祖母ば一人でこの店を切盛りしていた。
「泣くんじゃないよ!」
これが祖母の口癖だった。
毎日、母が恋しくて泣いてばかりの私に、祖母は一つも優しくはしてくれなかった。
それどころか、幼い私に店の手伝いをさせた。
「泣きたくなったら働きな。忙しく動いてりゃ、悲しいの何てすぐ忘れちまうんだから。」
シワシワの手と顔
白髪の髪の毛
ガラガラの声
まるで白雪姫に出てくる怖い魔女の様に見えた。
私は祖母が大っ嫌いだった。
…二話へ続く…