ばぁば 四話

レオン  2008-01-30投稿
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あれ?
何でだろ?
泣きたいのに
涙がでない…。


祖母が息を引き取ってから、お通夜や葬式の手続きをしなくてはいけなかった。

伯母は昔、祖母と絶縁していて、伯父は海外に住んでいて、母とは連絡が取れなかった。
だから高校生の私が色々やらなくてはいけなかった。
川島さんに手伝ってもらい、何とか手続きを済ませて、ぼぉっと空を眺めていると母に対する怒りが込上げてきた。


母は私を祖母に預ける前に言った。
「理恵ちゃん、ママ必ず迎え来るからね」
それっきり、母は連絡をしてこなかった。

たまに来る手紙には、いつも同じ様な内容の文と、おこずかいの千円札5枚が入っていた。

そんな心のない手紙でも、私はこの手紙が楽しみだった。
私は1枚だけポケットに突っ込み後のお金は祖母に渡した。
私なりの気遣いだった。

やがて、手紙すら来なくなった。
私は母に捨てられたんだと、その時気付いた…。


中学生の私が一番嫌だったのは、お弁当の時間だった。

みんなは可愛いお弁当箱に彩り鮮やかなおかずだったけど、私は唐草模様の包みを広げると、アルミの箱で、魚や竹輪や野菜炒めといった地味で質素な弁当だった。

時々、心無い男子に
「うわっ!お前の弁当地味だな〜」
なんてバカにされて、泣いた事もあったけど、私はお弁当を残した事はない。
祖母が早起きして作ってくれたものだから…。


私は家計を助ける為に、新聞配達のバイトを始めた。

その頃祖母は、もうだいぶ歳をとっていて、以前の様に働けなくなっていたから。

ある朝、祖母より早く起きた私は、給料を貰う時に使う為、印鑑を探していた。

桐のタンスを開けると、母からの手紙が何通か出てきた。
祖母宛で、こっそり手紙を読むと、再婚したという事が書かれていた。

涙がいっぱい落ちて、手紙のインクが滲んだ。

〜五話へ続く〜

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