〔3年前〕・・やりたい事があると家を飛び出して、頑張ってはみたけれど、中途半端でやめてしまった。
今は何をするでもなく、毎日がただ過ぎていく中で腐っていく事に気付かなくなっていく。
(いつでも戻れる)そんな場所がいつの間にか恋しくて仕方なかった。
〔5年前〕・・・母の作る弁当は正直好きではなかった。
塩辛い玉子焼き、魚味のリンゴ、水分を含んだフライまともに食べれるのは梅干しののったご飯だけだった。一度母に文句を言った。次の日から僕の弁当はオニギリだけになった。
母は覚えてはいないだろう、そんな思い出で今僕はなんとかすくわれている。
〔一年半後〕・・帰れるなんて思ってなかった。 家を飛び出したあの日から一人だと思っていた。 留守電に残された母の声を聞くまでずっと。
[変われる]今僕には帰れる場所がある。
支えてくれる人がいる。
一緒に泣いたり、笑ったりできる人がいる。
そして、なによりも塩の効いた冷たくも温かいオニギリを握ってくれる母がいるから。
だから世界中の誰よりも、僕は今一番幸せで卑怯者だ。