怨滅シ屋―?:オカマ、再び

紫桜  2008-01-31投稿
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藤咲はいつ見ても大きく感じる石階段を上り、桧の香る門の前に立っていた
中に入ろうと門に手を付けた瞬間、門が勝手に開いた。また金木犀の匂いがした
そしてそこには先ほどの老人が立っていた

「お待ちして居りました。秋ノ命殿」
「は、はあ…」
(さっきと違う名前で呼ばれたー!アキノミコトってなにー!?)
藤咲は心の中で軽いツッコミを入れながら、老人に案内されるまま庭の奥に入って行った

「あの…さっきはすみませんでした。勝手にお庭に入っちゃって…。他の二人も反省してるので許してください。悪意があってやった訳じゃ…」
「あなた様は気付いておられるはずです。自分が何故、此処に来たか」
老人は藤咲の謝罪を遮った。二人は柩ノ宮邸の縁側の前で立ち止まった。
藤咲は息を飲み、

「僕はっ、僕は何なんですか?」
自分の質問がワケわからないのはわかっていた。しかし、藤咲は今、聞くべき質問はこれしかないと思っていた

「あんたの本名は“藤ヶ咲 秋ノ命”」
突然、右から声が聞こえた。振り向くとそこには金色に輝くストレートの長い髪をした肌の白い若い女性がいた

「“怨滅シ屋”の一人さ」
すると今度は反対側の闇から季節外れのアロハを着た女性と同じぐらいの年齢の男性がいた

「最強の妖術一族“藤ヶ咲家”の頭領ですよ」
シャランと透き通るような綺麗な音がした
目の前には白い着物に身を包んだあの“柩のオカマ”が立っていた



また、金木犀の匂いがした

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