『雅〔みやび〕さん、本当にごめんなさいね』
『いぇ、とんでもないです。美奈子は最後まで俺を愛してくれました。』
『これ、娘から預かってたものなんですけど』
そぉぃって彼女の母から受け取ったのは、彼女から俺への最後の手紙。
美奈子は死んだ。
なぜ、あんな病気にかかったのか、なぜ神様は俺たちを見離したのか、納得いかなかった。
大きな写真、大きな祭壇、真ん中には棺桶。中にはきれいな顔をした美奈子が寝ている。
今にも起きてきそうだ。
「雅!はやく顔洗いなよ。泣いてるから真っ赤に目が腫れてるよ(笑)」なんて俺にお節介なことを言ってくれそうだ。そぅ思えた。
俺自身、美奈子の死は認めたくなかった。どこかで知らないだけで生きてて、時間が経てば寂しがりやだからひょっこりでてくると思い込んだ。
通夜のあと、俺はタバコとZippoと手紙、車の鍵をもって車に入った。