一人物思いにふける男がいた。
難波一樹 …イケメンSexyモテ男…全部あてはまる男だ。
だが彼にはひとつ解らない事がある…
それは鈴宮奏だ…
「奏ちゃんだけ何故俺の誘いに乗ってくれないのかな〜」
かなりの自信家なので奏の事は疑問でしようがない。
「俺はこんな事初めてだ…それに奏ちゃんが本気で好きになったみたいだ」
難波はベンチに一人腰かけ悩んでいる。
「俺とした事が不覚にも本気になるとは…」
「あら…難波先輩…何してらっしゃるの？」
一之瀬美奈が声をかけて来た。
美奈は難波が大好きでたまらない…一人で居るのは珍しいのでチャンスだと思った。
「やあ…美奈ちゃん…今日も綺麗だね〜！お茶でもするかい？」
「えっ…よろしいですの？」「もちろん…俺は美奈ちゃんとなら大歓迎さ」
「うれしいです…」
二人は校門前のCafeに入った。
「コーヒー二つ！」
難波はさっと美奈に椅子を引いてオーダーした。
こんなフェミニストぶりが女性にはたまらないのだ。
「美奈ちゃん…ピアノは順調かな？」
「はい…まずまずです」
「そうか…それは良かった…」
難波はそう言うと細く綺麗な指でタバコに火をつけた。
やがてコーヒーが運ばれて来た。
難波はタバコを灰皿に置きコーヒーを一口 口にした。夕日が難波の指にあるリングに反射して綺麗だった。
鼻筋が通りまつげは長く憂いを帯びた横顔が美しい…美奈はコーヒーを飲みながら見とれていた…「美奈ちゃん」
美奈はハッと我に返った。「美奈ちゃんは奏ちゃんと仲が良いの？」
「ええ…奏とはとても親しくしています」
「そうかぁ〜奏ちゃんて変わってるよね…なんか警戒心が強いと言うか…」
「そんな事はありませんよ…何故ですか？」
「う…ん…実は………いや…いいよ」
美奈は不安な気持ちが過ぎる…『まさか難波先輩は奏の事を…』美奈は心が沈んでいくのが自分でも分かった…
難波はウィンドーから遠くを見つめていた…
その横顔がまた綺麗だと美奈は思っていた。
…つづく…
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