殺人計画。
これを思い付いたのは、二年以上前になるだろうか。理由はあの現場を見てしまったからだ。
それを見てからは、毎日毎日計画を考えた。
衝動的にやってはだめだ。やるからにはしっかり計画を立てなければならない。そうは思っていたが、本当に実行するかどうかは定かではなかった。
殺人という恐ろしい犯罪に自分は関わってしまうのか。その恐怖の方が強かったかもしれない。
事実計画を進めていく上でもそのことばかり考えてしまって、うなされる日も珍しくなかった。
しかしここまでくれば後戻りなんかできない。あいつを殺す歴とした理由はある。
佐山はコーヒーを片手にプリントアウトした殺人計画書を読み返した。
「長かった」
心の中でそう呟いた。
そしてもう必要がないと思いそれを破り捨てた。後は殺るだけだ。
寺田のことは入社当時から嫌っていた。上司にはペコペコ頭を下げるくせに、同僚や部下には態度が違いすぎる。
寺田と佐山は同い年で同期だが佐山に対しても見下した扱い片をする。
そんな奴とは仲良くする気もなかった。おそらく相手も同じことを考えていただろう。
しかし寺田は仕事に関しては、文句のつけようがなかった。そのため同期の佐山はいつも比べられた。
自分がどれだけ業績をのばそうと、寺田を越えない限り納得がいかなかった。
当たり前だがこんなことが殺す理由だとすると自分が情けない。
理由は他にある。