アタシたちはいつものバスに乗っていつものバス停で降りた。
「日曜だけどさぁ。」
病院へ行く途中、藍治が言った。
「うん。ケーキバイキングでしょ。」
「椿具合悪いし延期しない??」
「たぶん大丈夫。まだ木曜じゃん。」
なるべく早く藍治と話をして、このことをスッキリさせたい。
今がチャンスなのかもしれない……でもまだ今日はだめ。
「ん〜じゃあまた前日に決めよっか。」
「う゛ん゛」
アタシは鼻をすすった。
「ほんとに朝から鼻声だしずっと鼻すすってるね〜。」
苦笑いしながら藍治が言った。
「全然ふつうよ。」
「ねぇ…ムービーで撮って良い??」
藍治はケータイを出した。
「本気!?何が良い男だヒドイ!!」
アタシは藍治からケータイを取り上げて電池パックのフタに貼ってあるチョッバーのシールをはがして電柱に貼ってやった。
「あー!!!オレのチョッピーがぁぁ!!!」
藍治は電柱に貼られたシールを一生懸命はがしてまたケータイに貼った。
「これでおあいこ。」
「椿チャン全然病人じゃない。」
ケータイに貼り直したチョッパーのシールを親指でこすりながら言った。
「じゃあ帰れば良いじゃん。」
「良い男だから帰りません…。」
アタシは鼻声で笑った。