私の視線の先で仕事してるあの人。回りの視線を気にしながら机の陰からその人を見ている。
すれ違う瞬間、ぶつからないように、それでも離れすぎないように全身に神経を集中させて。
あなたの香を確かめるように。
パソコンに触れる手を見つめる。大きくて小綺麗な手。つやのある爪。
その手が私に触れる瞬間を想像してみる。
私の先をあなたが歩くとき、その手で開いたドアを冷たく離す。その手つきは、後ろを歩く私の存在のちっぽけさを教えてくれる。
無数に繰り返されるこんな一場面で、日々喜んだり悲しんだり。
一方通行の思い。
今はそれでいい。