『どうした?』
『…仙台旗って知ってますか…?』
『…』
ぼくは知っていた…各県ごとに小・中・高・大学で日本一を決める大きな大会だ。
『仙台旗って言えば剣道のすげぇ大きな大会じゃんか!!黒田出るのか?』
友達の佐々木真一(ささきしんいち)が言った。
『いや…自分じゃなくて………先輩…出てみませんか?』
僕は小声で言った。
『何で俺が…』
黒田は強気な口調で言う。
『俺忘れてませんよ!あの時先輩が言った事!!』
そう…それは中学の最後の試合の後だった…
僕は泣いていた。まぁいつもの事だけど…その隣には友大がいた。友大は僕が試合に負けて泣いているといつも隣にいてくれた。どっちが先輩かわからなくなるくらいだ…
『負けちゃったなぁ…』
僕はシミジミ言う。
『でも良い試合だったじゃないですか!!感動しましたよ!!』
嘘くさい事を言う友大。それと同時に優勝者が表彰をうけていた。『どんな気持ちなんだろう…一番って…』
思わず口にした一言だった。
『さぁ…』
友大も想像しながら言う。友大はまだ2年だったから予選すらでていなかった。まぁ友大は一年後この大会で優勝したのだが…
『まぁ先輩なら高校でテッペンとれますよ!!』
『お前はよいしょがうまいなぁ…』
『いや!!本当に思ってますよ!!……俺には見えるんっすよ…先輩がテッペンとって笑ってる姿が…』『はは……でも…俺テッペンとるよ!!なんか…こんなに悔しいの初めてだから…いつかとってみせるよ!!』
『マジっすか!!じゃあ約束してくださいよ!!絶対にテッペンとるって!!』
友大はマジのようだ。でもこの時の僕もマジだった。この時は…
『あぁ!!』
そう返事をした僕は立ち上がった…
『俺はまだ見てないっすよ!!先輩がテッペンとるとこ!!』
『バカ言うなよ…僕にそんな実力あるわけないだろ!!』
『確かにないかもしれませんよ…でも先輩はまだ力を秘めてる!!』『そんなもんある訳ないだろ…』『じゃあなんで名門4校から呼ばれたんですか?天道からも呼ばれたんじゃないんですか!!?』
『そんなの…ほんのチョット成績がいいやつなら片っ端から声かけてるだけでしょ…』
『…俺はお声もかけてもらえませんでしたけどね…』
『…え…?』