頬が痛い。
時計がうるさい。
紗耶が20分も帰って来ない。
明日の予定を携帯で見る。
ミーティングが入っている。
休めるわけない、上から任された大事な仕事だ。
俺が指揮をとれるのは初めてだってのに…
くそ、タイミングが悪い。
ピンポーン。
「誰だよ畜生っ!!」
叫びながらインターホンの受話器を外す。
顔が見える。
紗耶だ、カメラが上についてるせいで上目使いだ。
…可愛いですから。
ちょっと照れますから。
開錠する。
「ただいまーっ」
コンビニの袋がガサガサなる。
「はい。タバコ…あとは…焼きそばパン。好きでしょ?」
…嫌いだ。まぁ食べられない事はないが、炭水化物+炭水化物は理解不能だ。黙ってモソモソ食べる。
仕事に行くとちゃんと言うべきか?
…うーんまたグーで殴られるかな。
それは嫌だ。でも上司…うーん。
「明日…どうする?」
いや…君が行くなと言ったんだろうが!
どうしよう…
ゲームとか持ってないし。
インターネットだけしかない、まぁいろいろ出来るケド。
待てよ、という事はインターネットで指示は出来るな。
よし!今からワードを開いて仕上げよう。俺からの指令書
「…ねぇ。なんかしない?」
「しないし出来ないよ。忙しい。」
「暇なんだけど。」
…イライラする。
「漫画、そこの押し入れにあるから、3時間だけ、待ってくれ」
「怖ぁ」
キーボードの音しかしない、俺の仕事用の脳があったまってきた。
そろそろ音楽でもかけるか。
…うおぉーしっ2時間と10分。かなり早くできた。
今ベストの状態だ。なんかしたいな。
「ねぇ…終わったみたいだけど…まだ?」
鼻をすすりながら来た。
「泣いてる?」
…寂し泣きか?
だとしたらかなり可愛い、俺は涙にはすごく弱い。
「この漫画、すごい世界感だね。」
…漫画か。
それでも可愛いな。
いや、結局可愛いに結びついてる。
惚れたか?俺。
「俺も泣いたよ。でもそこまでじゃないな」
鼻つまってるし。
笑いそうだ。
…あ、電話しよう。
「ちょっと待っててね?」
電話を後輩にかける。