目の前に刀が降ってきた。怖い。
平田はスローモーションのように、コマ割って降ってくる刃物を呆然と眺めていた。
あぁ、死ぬんだ。
平田はぼんやりと確信しながらも、鈍色の美しい刃を見ながら、なぜかひどくその光が懐かしいことに気付いた。
そして、いきなり目の前のテレビのスイッチが入った肌がびりびりとして、頭皮の毛穴が開いて一気に汗が吹き出るかのような殺気。血の臭い。
呼吸音。
チャンネルの合わないテレビを見るように、彼は昔の記憶を見た。
そこでは平田は、深紅の鎧兜に六文銭の家紋。長槍を脇に携えた武者の格好をしていた。
『私の生まれ変わりよ』
武者の口から若々しい、ぴんと張り詰めた琴の糸のような声が漏れた。
『戦え。そなたの友を、守れ』
彼はそう微笑むと、平田に向かって手をかざした。