窓が近かったからか。
まず思い出されるのは、生暖かい風と、強く輝かしい光だ。
席に付くとまず前の新井と
『なんでこんなん前の席なんかねぇ。最悪やなぁ。』
と、何気無い会話をしていていると、彼女が突然話掛けてきた。
『これから、よろしくね。黒田くん。』
『ん。あぁ。よろしく。』
それが、僕と彼女の最初の会話だった。
それから次の授業が始まるまで彼女は喋り続けた。
彼女のマシンガントークには最初、ホントにビックリした。
一通り自分で喋り続け笑った後。
『黒田くんて、面白いよね。クールそうなのに、サラッと面白い事言ったりさぁ。』
さらに、
『それに、クラスマッチの時なんかさ。あんな声出してみんなまとめとるんやもん。』
どうやら、一学期の間の行動を観察されていたようだ。
しかし、そう言われて悪い気はしなかった。
チョッとはずかしかった。
『そうかな?そんな風に言われたのは初めてやなぁ。』
『そうだよ。女子はそう行ってるよ。』
って、言いながら、大きなアクションで無邪気に笑って見せた。
正直ドキっとした。
僕はこういうタイプの女性に弱い。
今もそれは変わってない。
それも彼女のせいだろう。
それから、僕のアダ名が決定した。
『ん〜。アダ名決めたいね。何がいい。』
『別に。好きに読んでええよ。』
『ん〜。じゃあクロちゃん。いや、ありきたりやから、クロクロ(笑)。』
命名。クロクロ。
正直はずかっしかったが、それに対して僕には拒否権がないらしい。
それからはところ構わなくクロクロと呼ばれるようになった。
ある時など、朝、校門の前で遠くの方から呼ばれたと思ったら。
『クロクロ。おはよ〜。』
そう叫びながら走ってきてた。
僕は周りからジロジロ見られ慌てて校門に入った。
すると、追い付いた彼女が。
『なんで、先にいくとぉ。』
笑いながら言ってきたので。
『はずかしいやろ。』
そう言うと、彼女が笑いながら言った。
『いいやん。気にしない。気にしない。』
そう言うと、また、あの笑顔だ。
そんな生活がしばらく続くと、周りも衆知の仲になり、自然二人でいる事が多くなった。
それからの学校生活はホントに楽しかった。
それからは何度か遊びに行ったりもした。
そうやってるうちにその明るさの裏には秘密があったことを知ることになった。』