甘いもの
大嫌いな僕のくち
それなのに
どうしても欲しい
キミ味のチョコ。
できること
やれることは
もうやった
今宵ただ
チョコを差し出す
君を夢みる。
そわそわと
机や下駄箱のぞき見る
まだか今かと
知らぬ顔する。
帰り道
幸せ者の自慢きく
期待外れの
カバンの軽さよ。
足重く
階段上る背中ごし
母の声など
聞こえてはいない。
ドアの前
ギンガムチェックの箱ひとつ
去年と同じ
母の優しさ。
ありがとう
母に言うともうひとつ
預かってると
母が差し出す。
僕は
はにかむ
知らぬ顔で。
母も
笑う
知らぬ顔で。
部屋に行き
キミ味のチョコくちにする
キミのことだけ
目を閉じて想う
目を閉じて想う。