君の涙と僕の決意

なお  2008-02-04投稿
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「別れよっか…」

「………………」

彼女の気持ちに気づいていた俺は、あえて返事をしない。

どんな返事をしたって、結果が変わることはないと、わかっていたから。

「ありがとね。今まで…」

「………………」

辛いのは彼女も一緒かもしれない。俺が笑顔で見送れば、それで済む話だ。

「………………」

ついに彼女も黙ってしまった。俯いていて…どんな表情をしているか分からない。

「ごめんな」

ようやく振り絞って出した言葉。予想以上にかすれていて、自分の声とは思えなかった。


「何で謝るの?」

「何もできなかったから。幸せにするって約束守れなかったから」

「それは………」


付き合い始めたころ、誰よりも幸せにすると誓った。

果たされることは、永久になかった。


「仕方ないじゃない。」

「そんなことねぇよ」

「いいわ。もう謝らないで。」

「そうか…」


未練も何も残したくないのだろう。彼女は、にらむように俺を見た。

俺は、なぜか優しく笑っていた。

「最後までずるいのね…」

「え?」

「聞いてないわ。謝るなんて。いっそのこと罵ってくれてかまわないのに。」

「好きだからだよ、まだ。お前のことが…」

「………!!」

予想外の言葉だったのか、驚きを隠せないまま、彼女は言い放った。


「断ち切るって言ったのはアンタでしょ!!さいてーっ!」

涙を流しながら去っていったあの人。好きって言う言葉を恨んだ。

冷たい冷たい雨が降る、真夜中の出来事だった。

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