肉食主義?
焼肉屋を出て私達は街灯の少ない夜道を歩いていた。
その時だった、自動車の急ブレーキの音とバン!という、まるで……人をはねたような音を聞いたのは。
「ねぇ由里、今の音は!」
「行ってみましょう」
音のした方へと駆け出す。
そこは見通しが悪く人気のない交差点。その中央付近にぐったりと女性が倒れていた。
「大丈夫ですか!?」
私は駆け寄ったが、まだ若い女性は頭を強く打ったのか血溜まりが広がっている。
一刻も早く手当てをしなければ手遅れになってしまう!
「由里!救急車を呼んで!早く―――」
その時私は信じられない音を聞いた。
キュルルーと腹の虫が鳴く音。
「えへへ、お腹空いちゃった」
「由里、こんなときに何を言ってるの?」
「だってさ、こんな゙食べ頃のご馳走"が目の前にあるのに我慢しろだなんてひどいと思わない?」
一瞬私は由里が何を言っているのか分からなかった。だけど今までの行動を考えると筋は通る。
「由里、あなたは―――あなたはこの女の人を食べるつもりなの?」
「ううん、違うよー。私は貴女を食べたいの。いただきます」
「い、いやぁぁぁ!!」
?へ続く