肉食主義?
私は突然由里にのしかかられた。両足はきっちりと由里の両膝で押さえられていて動かすことはできない。
「な、なんで……なんで私なの!食べるならあっちを食べてよ!」
「えー、だって拾い喰いなんて汚いじゃない」
無邪気に由里は笑う。そんな理由で私を食べると言うのか!?
由里が顔を、私の左腕に埋めた。
「やめっ―――いやぁぁぁぁ、痛い! 痛いぃぃぃ!!」
突如走る激痛。
私の左腕から顔を上げた由里は、口の周りを真っ赤に染めていた。
光悦とした表情で由里は口を動かしている。どくどくと、血を垂れ流す私の左腕。
今までにわかに信じられなかったが、やっぱり由里は人喰い……。
このままでは殺される。何とか逃げないと。
「絶対に逃がさないよ……私が食べ尽くしてあげる」
由里は逃がすつもりはないらしい。だけど私も諦める気はない。
「っ―――そういうことするんだ」
私の吐いた唾は由里の眼に当たった。
一瞬怯んだ由里だが、より邪悪な笑みを浮かべ、静かに感情のこもっていない声で言う。
「ねぇ……生きながら眼を食べられるって、経験したことある?」
肉食主義?へ続く