拡声器から宇宙へ。(上)

tomio  2008-02-06投稿
閲覧数[399] 良い投票[0] 悪い投票[0]

 どう起きても
日曜日の顔は嫌い。
空が仏頂面でイジケテいるのだからもうどうしようもない。
トンネルを抜けても
渋谷は
雨。

水っぽい井の頭線の改札を
だらしなく出てから、
今更ながらに行き先を選んでるのが
私。
あらま、きょうも独り
とか自ら辛辣に演出しては
本日の、不安を潰すメニューを選んで、
孤独を浪費する居場所をサーチしているのも私。
という名前の
記号。

ここのガラス窓からは、ナマリの海に傘が咲いてく様子がようく見えるけれども、
それ見ててもしゃあないわな?って路上に進みだしたらさっきより身体が重たいし。
もしや近頃ふくよかに?ってふと考えたら
ああそうか有り得るなと。
アリエールは洗剤なのなと。
そうか二日酔いみたいなこの吐き気の根源は、
常日頃から色々な有害物質を、吸い込んでいるからだ。
例えば今通過した、心なくした下品な会話とか人にイラついてる車のアイドリングによる排気ガスとか、あとくさった欲望とか砕けた夢の残骸とか。
そういうもんをかたっぱしから、飲み込んでいるからなのだよ。
ここは何でも過剰なんだ。
とっくに底が破けてんのに、絶え間なく注ぐのは誰なんだい?
無駄遣いはやめなされ、そして心を病めなさんな。
信号になだめられて立ち止まり、上見あげりゃあ、
でっかいテレビ画面。サイヴぉーグみたいなモデルの顔面。見下されて今日も元気なゾンビなウぉーキング。
…なんか歌みたくなっております。そして歌いたくなっております。声高らかに。
このスクランブル交差点の中心は、
愛を叫ぶにはもってこいだな。
よし信号もGOサイン!
おーい、どなたか拡声器を持ってきて頂戴。

あーあーマイクテスワンツー。

吸って 吸って 吸ってもっと吸い込んで込んで止めて

ぜんぶキレイさっぱり飲み込んで

ヒトもクルマもオッサンもハトもオバチャンもネェチャンもカラスもニイチャンもイヌネコネズミ、や、ネズミはなし。兎に角すべてを私の中に吸収したなら



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 tomio 」さんの小説

もっと見る

ノンジャンルの新着小説

もっと見る

[PR]
綺麗になりたい!
モテたい!ならコレ


▲ページトップ