僕は高校三年生どこにでもあるごく普通の普通科の学校だ。
高校での僕は一人で居ることが多くわりと静かにしていることが多かった、というのも周りの友達達に温度差を感じてしまうからだ、彼らの話題は大概、誰と誰が付き合ったとか、誰が好きかなどというものだ、中でも自慢話のように付き合って一週間や三日で別れたという話しを聞くのが嫌だった、どうやら彼らには期間の短さによって箔が付くらしい。付き合って二時間というヤツがいたがもうそこまでいくと恋愛は恋愛という名のインスタントでありファションの一部だった。僕にはそういった考えや行動が理解できなかった。
彼女と出会ったのは高一の夏だ。と言っても彼女の実家は自営業のコンビニでヤマザキと提携しており、ガソリンスタンドまで家族一丸となって経営していた、まぁ田舎町にはよくあるものだ。だから彼女との出会いは客とレジの店員というもので、出会いと呼べるようなものではなかった。
見た目は二十代後半で、体形はスレンダーで、顔は整っていてスッと通った鼻と可愛らしい二重のはっきりした垂れ目が印象的で、その後に感じるどこか影を潜ませた雰囲気が印象に残った。彼女は誰が見てもいわゆる美人にぞくしていた。
それからというもの今日にいたるまでそのコンビニに行きつけになった、もちろん目当ては彼女だ、どんなに御粗末なパンでも、彼女がいるレジを通せば、唯一無二の職人顔負けの味になる、というのもジャムとして彼女の笑顔が塗られたためだろう。
僕は彼女に恋をした。