『いくぞ、ハウル!!』
俺が一閃、Goサインを出すと、ハウルはグィっと反応し、みるみる先頭との差を縮めていく。フリューゲルスは伸びない。あっという間に、ハウルはモノトーンを抜き先頭にたった。予想通り、モノトーンは競り合いは苦手なようだ。
『ハウル先頭!!後続を突き放していく!!』
手応え十分で、差が開いていく。後続との差…いや、ただ一頭を除いた、後続との差が。俺は感じていた。後ろから迫ってくる、一頭と一人を。
『おっと、ハウルに食いつこうとするのは、芦毛のアシュベルだ〜!!今にも並ばんとする勢い!!』
シンガリにいたというのに、どんな加速で差を詰めてきたんだろうか。わからないが、相当の瞬発力とキレのある脚の持ち主なんだろう。
『やっぱり…こいつ、ただもんじゃなかった!!』
馬だけでなく…ね!!
なんて楽しそうに乗るんだろう、この若者は。
…白熱した羽田盃、マッチレースの勝敗の行方は、写真判定にもつれこんだ。