闇の中にいると不思議だ
私という輪郭は消え去り
空間と解け合い
ただ私の心だけになってしまう
闇よ
昼の明るさが
私に疲れをもたらしたら
お前が静寂と共に現れ、私を包んでおくれ
そして、あの無言の子守歌を歌っておくれ
闇よ
お前なくして
どうして昼の美しさがわかるだろう
お前のもたらす安息なくして
どうして人生の喜び、そして悲しみを知れよう
闇よ
人はお前を恐れるけれど
それはお前の美しさが
安堵の寝息のなかにあるから
お前の無限さが人の想像を刺激するから
闇よ
夜明けの美しさも
夕日のせつなさも
星々のささやきも
お前がいればこそ
私は母の胸に抱かれた幼な子のように
今宵も
まどろみと共に
お前のひそやかな足音をきくだろう
そしてこう思うだろう
暗夜に幸あれ、と