…………俺は……なんで……こんなに………無力……なんだ………男は暗い部屋で……うなだれながら、部屋の隅にあった小さな冷蔵庫をあけ、ビ−ル缶を二本取り出す、近くにあるソファ−に腰掛け缶を開けると、一気に喉に流しこんだ冷たい液体が喉を通り体にぬけ徐々に熱くなっていく…目の前がぐにゃぐにゃになっていく、熱い熱い…………………いつのまにか男のいる場所は紅く火に包まれている、
……さっきの…火か…男は虚ろな目でそれを眺めた。…俺も…………やっと……人並に……死ねる……のか……男は目を閉じた …しかも……あいつと同じ死にかた……嬉しいよ……アヤナ……今…行く………。
男の名は田村牧斗
彼は数ヵ月前までごく普通の大学生だった…
男はすべてを焼く炎の中でまたまぶたをつぶった……男の目の前で……炎に包まれた部屋からアヤナ…あの娘いたあの時間まで巻き戻されていく……