私は空を飛ぶ夜の鳥
荒廃した都会に美しい街がある
そこに住む人は全て美しく煌びやかな生活
その中心に一段と華やかにそびえる一つの塔
外は青白い光の滝
内はガラスに彩られたタングステンの噴水
私は低く掠めながら塔に吸い込まれる紳士を見た
夜の鳥には入れぬ世界
眩しさにはっと盲いだ
その街に寄り添う様に小さな店がある
その灯りは温かくとても柔らかい
そこには悪ふざけをする店員
怒りんぼの店長
喧嘩しながらみんな一緒
ふざけながら一生懸命働く仲間がいる
私はその店の前で人間の女に変わり、壊れかけの自動ドアを開ける
懐かしいいらっしゃいませ
私帰ってきたんだ
居心地の良い怠惰と愛情が流れている
すっと一周みんなの顔を眺めてからやはり私は店を飛び立つ
そう私は空を飛ぶ夜の鳥
暖かいけどここにはいられない
あの店から街を飛び越え反対のはずれに荒廃した土地があった
夜になれば人影もなく黒く煤けた建物が寂しく続いている
その一角にまるで隠れる様にしてその事務所はあった
ビニールタイルの床もその昔美しく輝いた日々があった事を物語る
そのビルの前で私は人間の女に変わり、匿われる様に中へ招かれた