【2回表1死1、2塁】
俺の2ベースとキョウスケの粘りの四球で1ナウト1、2塁とチャンスをつくった。
相手捕手、雪村の声がピンチの天豪三中ナインを激励する。
雪村『まだ2点差だ!!ここは1つずつしっかりとってけばいい!!いいかぁ!?』
天豪三中ナインも気合いを入れる。
天豪三『おう〜!!』
打席に立つのは久々のスタメン、9番丸山圭太。
タク『ケイタかぁ…ここで結果出してくれよ〜』
ユウ君『久しぶりのスタメン出し、なんとか結果ほしいね』
ベンチの曽我端は悩んでいた…
(ケイタかぁ…下手に凡打なら簡単にゲッツーだな…だったら…)
曽我端の手が動いた。
2塁上の俺、1塁上のキョウスケ、そしてバッターボックスのケイタが曽我端さんの出したサインを見た。
!!!
(送りバント!!!)
ケイタが少し驚いた顔をしたが、ヘルメットのつばを掴み、『了解』のサインを返した。
さて、ここが勝負の別れ際だっ!!
初回のバントミスも考えると、ここでのミスは許されない…
矢沢がセットに入る。
首だけ後ろに傾け、2塁にいる俺を気にするそぶりを見せたが、そのまま投球動作に入った。
俺は広めのリードをとった!!
ビュン!!!
コンッ!!
カズマ『上手いっ!!』
ケイタはピッチャーとファーストのちょうど中間あたりにプッシュバントをした!!
球が転がった瞬間、俺とキョウスケは全力で次の塁に向かう!!
相手の司令塔、捕手の雪村は
『辻村!!ファーストだっ!!』
と叫んだ。
セカンドの辻村がダッシュでボールを拾い上げる!
ケイタの足も速い!!
しかし…
『アウトっ!』
ジャッジはアウト!
拾った瞬間、セカンドの辻村はプロ顔負けのランニングスローを見せた!
セカンドの好プレーに藤城ベンチは驚いたが、何はともあれ、ケイタのナイスバントで俺達は2アウトながらも2、3塁としたのだった!!