二・事件の延長線
あっという間に時は過ぎていく。
警察から事情聴取が終わると弾丸がかすめた頬を消毒してもらい絆創膏を貼ってもらうと、そのまま家路につく。
今だ何が何だか解らないままふらふら歩いていると、後ろの方から歩いて来る人がいることに気付く。僕が住んでいる街「ポーズタウン」は人口は多い方だが、僕が住んでいる地区は全くと言っていいほど人が少ない。それに時間も時間だ、いつもは静か過ぎて星の煌めく音が聞こえてきそうなほどだ。
そこに僕を含めて二つの足音。不労者が向こうからやって来る。足音はきっとこの人だろうと自分に言い聞かせる。すれ違う。依然足音は二つのままだ。いろんな事が頭の中で会議される。そして最悪の答えが決定された。「アレだ」「あいつが僕を殺しに来たんだ」、それが最終結果だった。もう呼吸の音が耳下で聞こえる。
僕は決して足が速い訳ではない、いや、どちらかといえば遅い方だ。だが、相手の腕が動いたのを背中越しに感じ取ると勢いよくスタートを決めた。