カウントダウン・・6
『行ってきます』
私は、落ち込んでいる里奈の声に気付いてはいました。だけどどうしても ” 里奈=イジメ” には結び付かず見落としていました
『どうしたの?』ではなく、
『行ってらっしゃい』…と
『おはよう里奈』
優香が追いついて声をかけた
『あたしのせいでごめんね、里奈巻き込んじゃって…』
そんなことないよ!…言えなかった
『アタシ、しばらく休むね。 堕ろすことにしたから……』
なんだそれ?あたしが身体張って守ってきた意味ないじゃん?
『優香が決めたんならいいんじゃない?』
〈もう、どーでもいいよ
どうせこうなることは最初からわかってたよーなもんだし
あたしバカだよねー。こんなことのために何であんなに熱くなっちゃったんだろ
もう取り返しつかないのにさ…〉
『失礼します』
保健室は静かだなぁ…
−わかってますよ、あなたがどれほど傷ついたのかは−
−それにしても、佐々木先生にあんなこと言うなんて本当に許せないですよ−
−佐々木先生の気が済むまで、私達も協力しますから−
…元村だ。何言ってんの?
『あのー、佐々木先生いますか?2年の…里奈ですが』
ガラッ!
奥のカーテンが開いた
やっぱり元村もいた
『何してるの?入ってくる時はノックして挨拶しなさいよ』
『したん…』
『で何?またアタシをバカにしに来た?ウワサ聞いたでしょ?二度も流産するのは、アタシの何がいけないんだっけ?』
『アタシ、そんなこと一言も言ってません!!あれは、元村先生が勝手に作った話でしょ?』
奥にいる元村を覗くように言った
『でもね、言葉は違っても人の受け取り方でもっとヒドイ言葉に聞こえちゃうのよ。あなたは人を傷つける天才よ。このまま大人になったら、きっと傷つけるだけじゃなくて殺しかねないわね』
『とにかくお前なぁー、大人の言うことにエラそうに口だしできるような大層な人間じゃねんだよ。義務教育中なんだから、大人を怒らせちゃぁいけないのにねぇ』
『とにかく、佐々木先生に謝りたくて来ました。本当にすみませんでした』
『教室行って居場所あんのかぁ?アハハハハハ』
アハハハハハ