やっと着いた…
見覚えのあるアパート。俺らが生活している家だ。
カツン…カツン……
階段を上って、扉の前まで来ると…
ガチャリ…
「おかえり!湊★」
「………?!」
さすがに驚いた。一体どんなマジックを使って、俺の帰宅を予知したんだ?
「なんか…今、扉開ければ、会える気がしたんだよね…湊に…!」
「ったく…雪降り始めたぞ?風邪引くからいいのに…」
「ダメだよぉ…!湊がお仕事頑張ってるの知ってるから…だから、せめて……」
そこまで言うと、照れたように下を向いてしまった。真っ赤な顔が、言いたいことを物語っていた。
「………サンキュ」
ぎゅっ………
つい、愛しすぎて抱きしめた。
「あのね…子供ができても、言うよ…?"おかえり"って…子供とね、湊を迎えるの…」
「うん…ありがとう。…大好き…」
ちゅっ………
忙しい毎日が、これから二人に距離を作るかもしれない。
だけど、お前からの愛しい言葉が聞ければ…俺はそれだけでいいんだ…
愛しい言葉のありがたみに気づいた、寒い寒い夜だった…