「……!!」
気づけば走り出していて、家路を急いだ…無性に、愛奈を抱きしめて、愛したくなったのだ。
走るのなんて大嫌いだった。汗は気持ち悪いし、何より疲れがおそう。昔から大嫌いだった…だけど今は違う。
ガチャン…!
「愛奈!!」
夜中12:00過ぎ。寝ていて当たり前だとわかっていたが、衝動を抑えることができなかった。
「……慶ちゃん…?」
俺を未だにあだ名で呼ぶ愛奈。それさえ愛しくて…
気づけば抱きしめている自分がいた。
「愛奈…ごめんな…ごめんな…?」
「どうしたの?慶ちゃん…なんかあった…?」
「……っ……」
感情に収拾がつかなくて、言葉が紡げない。
何か言わなければいけない…そう思えば思うほど、焦りからか、困惑してしまう。
「………大丈夫だよ?」
「愛奈……」
「私、絶対どこも行かないよ…?ずっと、慶ちゃんといる…!」
愛しい
この言葉の意味が初めて分かった気がした。
俺は、本当に愛奈が好きなんだ…
「愛奈…」
優しくキスをした。今まで異常に、甘く甘く、二人でお互いの愛を確かめあうような…優しいものだった…