和がとうとう九州を発った
発つ時間になっても携帯は鳴らなかった
和からの電話を待っていた自分がいた
何度も和に電話しようとしたが、変なプライドが邪魔をして、携帯電話のボタンを押したくなる衝動をぐっとこらえた
その次の日も、また次の日も和からの電話はなかった
一週間経ったある日、とうとうしびれをきらした私は和に電話をした
プルルルル・・プルルルル・・
出ない
そのうち、伝言メモが流れた
【ただいま、電話にでることができません・・ピーという発信音の後に、20秒以内でお名前とご用件をお話ください】
というガイダンス
20秒以内なんて無理だ
話したいこと、聞きたいことは山ほどある
私はただの伝言メモごときに、動揺し、すぐさま電話を切ってしまった
二時間後、和から電話がかかってきた
『もしもし・。俺・わかる?』
わかるよ
ずっと連絡待ってたもん
そう心の中で思いながらも
「うん!元気だった?」
あたりさわりなく、夢中なことに気づかれぬよう、わざと私はあっさり答えた