奈央と出会えたから。<77>

麻呂  2008-02-10投稿
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タツヤはサバイバルナイフを持って、聖人に向かって突きつけ突進して来たー。

ドカッ―――ー‐。

一瞬ー


静まり返った教室にー


鈍い音が響き渡ったー。


あたしは思わず目を両手で覆い被せてしまったー。


シ――ー‐ン‥‥。

まだ誰も口を開こうとしないー。


あたしは、目を覆い被せた両手の指の隙間から、恐る恐る目の前の光景を確認しようとしたー。


するとー。


そこにはー


うずくまって立てないでいるタツヤの姿とー


床に落ちたサバイバルナイフがありー


何も無かったかの様に、その場に立っている聖人がいたー。

『インパラがチーターに勝っちまったってか?!タツヤ?!オマエ流の“弱肉強食”の法則が成り立たなくて残念だったな?!
ならばこれが俺流の“猛獣のかわし方”よ!!』


聖人がタツヤに皮肉を言ったー。


始めからタツヤに勝ち目は無かったんだー。


くるりと辺りを見回した聖人はー


黙って側で見ている事しか出来なかったあたしに気付いてくれたー。


そしてー


ニコッと笑い掛けてくれたんだー。


『正当防衛だかんな?!』


思わずあたしも微笑んだー。


何よりもー


聖人が無事でよかったー。


サチヨは机の下に隠れて小さくなっていてー


近くに居たユカは、腰が抜けた様にへなへなとその場に座り込んだー。


そして小さな声でポツリとこう言ったー。


『聖人‥。ごめん‥‥‥。』



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