タツヤはサバイバルナイフを持って、聖人に向かって突きつけ突進して来たー。
ドカッ―――ー‐。
一瞬ー
静まり返った教室にー
鈍い音が響き渡ったー。
あたしは思わず目を両手で覆い被せてしまったー。
シ――ー‐ン‥‥。
まだ誰も口を開こうとしないー。
あたしは、目を覆い被せた両手の指の隙間から、恐る恐る目の前の光景を確認しようとしたー。
するとー。
そこにはー
うずくまって立てないでいるタツヤの姿とー
床に落ちたサバイバルナイフがありー
何も無かったかの様に、その場に立っている聖人がいたー。
『インパラがチーターに勝っちまったってか?!タツヤ?!オマエ流の“弱肉強食”の法則が成り立たなくて残念だったな?!
ならばこれが俺流の“猛獣のかわし方”よ!!』
聖人がタツヤに皮肉を言ったー。
始めからタツヤに勝ち目は無かったんだー。
くるりと辺りを見回した聖人はー
黙って側で見ている事しか出来なかったあたしに気付いてくれたー。
そしてー
ニコッと笑い掛けてくれたんだー。
『正当防衛だかんな?!』
思わずあたしも微笑んだー。
何よりもー
聖人が無事でよかったー。
サチヨは机の下に隠れて小さくなっていてー
近くに居たユカは、腰が抜けた様にへなへなとその場に座り込んだー。
そして小さな声でポツリとこう言ったー。
『聖人‥。ごめん‥‥‥。』