そういえば、その頃こんな事があった。勉強が一段落して、何となく僕は日向子に電話をしてみた。すると、日向子はすごく喜んで受話器の向こうから微かな泣き声がしていた。
その時、僕は日向子に寂しい思いばかりさせていたことを思い知った。「ごめんな…いつも支えてくれてありがとう」
といつになく素直に伝えた僕に
「ばーか」
と日向子は鼻声で笑って答えた。
本当に日向子は僕を心から愛してくれていた。そして、支えてくれた。
それなのに僕は、君を裏切り、傷つけた。
僕はいつしか、日向子の存在が当たり前になっていたのだ。そして、僕は他の女性に恋をした。